ブランドは、厳しい競争環境の中で勝ち抜くための経営ツールです。
普通にやったら同質化する
度重なる経済の浮沈を乗り越え、企業は並々ならぬ努力で商品やサービスの改善を続けてきましたが、そんな商品でも今やなかなか売れない状況となっています。結果として単価も下落、まさにデフレに突入しつつある今般、従来の事業を延長線的に改善するだけでは打ち手としての限界があります。
その突破口の一つとして、革新的な事業や商品・サービスを開発しようとするケースも増えてくる訳ですが、ここで問題となるのはその進め方です。新規事業を開発するフレームとして、教科書通りに「魅力的な市場はどこか、その中で誰を相手にするか・・」と進めても正直限界があります。極端な話、どの企業が取り組んでも殆ど同じ結果となるだけとも言えます。
創発的に、新規事業の仮説を導き出す
真に革新的な事業を開発するためには、少なくとも「発想の方法」に何らかの固有性が必要であり、その切り口の一つが、その企業固有の資産である「ブランド」であると考えます。しかし、単に表面的に規定されているコトバだけから革新的な発想を拡げることはできません。そのブランドが積み重ねた多くの歴史やそれが培われた背景、お客様との関係性など・・・定義されたコトバの裏側には、ブランドを構成する要素が沢山拡がっているはずです。ブランドを「深耕的に解釈」し、ここを発想の原点することが、ブランド基点に創発的に新規事業の発想を拡げるポイントだと考えます。
そして、今の顧客や今後顧客にしたい人たちが、そのブランドの周りで今何を考えているか。表面的なニーズの裏側にあるホンネとは一体何なのか。それは直接顧客に聞いても出てきません。先ずは自分たちが、ブランドに纏わる全ての状況を一つ一つ区切り、その中で、顧客が描くであろう思いを「創造的に探索」することが必要です。これら二つの掛け合わせで発想し、創発的に新規事業の仮説を導き出します。
現実的に、新規事業を絞り込み、精緻化する
次のステップで、創発的に導かれた新規事業仮説を絞り込み、精緻化していく訳ですが、創発的に着想したから、進め方も創発的で良いかというとそれは大きな誤りです。このプロセスで生まれた新規事業案を真なる意味でカタチにするには、より冷徹な事業性評価が重要となるのは当然です。
従い、新規事業の仮説毎に、将来性も見据えながら市場規模や競合の動向、そして想定顧客の需要性等定量的な分析を交え肉付け、精緻化を施していくことになります。また、従来にはない事業を形にしようとすると、自社リソースだけでは完結できないことが多く、他社とのネットワーキング能力も非常に重要となります。新規事業・サービス開発をうたうブランドコンサルタントには、こういう能力があることも前提となります。
以上、ご紹介した視点毎のフレームワークや詳細の進め方、サポート事例等につきましては、別の機会でご紹介したいと思います。
博報堂ブランドコンサルティング シニアマネジャー 楠本 和矢
(博報堂BCニュースレター 第13号掲載)